白眼野 りゅー

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 ひどく空しい恋をしている。と、時折思う。

 見上げた空は、面白味のない灰色をしていた。


【遥か遠くの空に恋して】


 空を見上げ、君のことを考える。僕が愛の言葉を伝えても、返事もくれない君のことを。

「君は太陽より明るくて、虹よりも繊細で、ううん……」

 君が思わず無視できなくなるような口説き文句を考える。思い浮かんだ言葉を空にぶつけてみる。傍目からは、空に告白してる人みたいに映っているのだろうか。

「とにかく、愛しているよ。気が向いたら、お返事ちょうだい」

 無意味な呼びかけだとわかっている。君は僕が何を言おうと、返事なんて寄越さない。

 ……だって、空の上まで僕の言葉は届かないから。遥か天の国と地上を繋ぐ言葉なんて、どこにもありはしないのだから。

「……雨」

 これが、君の答えかい?

 そう信じるより他に、空の先への無謀な恋を肯定する方法がわからなかった。

7/7/2025, 7:41:37 AM