霜月 朔(創作)

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やりたいこと


毎朝、疲れが抜けきらないままの、
重たい身体を、無理矢理起こして、
朝食もそこそこに、仕事に向かう。

職場では、
奴隷同然にこき使われ、
休憩も碌に貰えなくて。
ミスすれば、罰が待ってる。

夜遅く、仕事が終わった時には、
最早、夕食を食べる気力も、
シャワーを浴びる気力もなくって。
狭くてボロい部屋の、
硬いベッドに倒れ込む。

やりたくなくても、
やらなきゃならない事と、
無理矢理やらされている事に追われ、
肉体的にも精神的にも経済的にも、
余裕なんか全然なくて。
自分のやりたいことさえ、
解らなくなっちゃってた。

ある夜。
ボクはフラフラの身体で、
夜空を見上げた。
星が涙に滲んで、
何時もより輝いて見えた。

…あ。
やりたいこと。
思いついた、よ。

『もう全部、終わりにしたい。』

そして、ボクはボクじゃ無くなった。

これからは、きっと、
今迄よりは、幸せになれるよ、ね?


6/10/2024, 6:57:04 PM