ひらり舞いました。はらりと落ちてまいりました。
私の投げ捨てたラブレターは心残りがあるのか、
足元に!何回も!性懲りも無く!帰ってきました。
ひらりと身を躱せど、必ず帰ってきました。
「まだやってるのー?もう帰っちゃうよー?」
「もうちょっとだけ待ってー!」
「それ何回目?!これで最後だよ!本当に帰るからね!」
ひらりひらりと友達の言葉を躱せていた、と
思っていたのは私だけのようです。
私は逃げているようで何からも逃げられていません。
窓の外で舞っている蝶の形にちぎれば、
ひらひらと、
どこか遠い場所へ飛んでいってくれるのでしょうか。
ビリッ
ぱらぱらと彼への想いがこぼれてゆく。
開けっぱなしの窓が吸いこんでくれました。
窓の外を覗くと彼は部活の真っ只中でした。
球を蹴っていた足を止め、上を見上げました。
だがしかし、この距離では絶対に読むことはできません。
不思議そうな顔をした彼は、
ひらひらと舞う紙くずの先を辿り、
その双眸を
ひらりとこちらへ向けました。
【ひらり】
3/3/2025, 11:33:59 AM