ㅤビール追加の声。皿を重ねる音。店内のざわめきが、向かい合う沈黙の間を過ぎていく。武器のつもりで袖を通した新品のワンピースは、タバコと焼き鳥の匂いに呆気なく敗けた。ㅤ確かに息づいた恋を「潮時」と冷たく評する君を、否定出来るだけの勇気が私にはない。花模様の上で震える拳を握り締める、ㅤ目の前に座るのは、私のまだ知らない君。もっとたくさん、知りたかった君。『まだ知らない君』
1/30/2025, 3:01:27 PM