明日世界が終わるなら……
誰が終わると言ったって、たとえわたしの神様である貴方が、世界の閉幕を宣言したって、きっと毎日のルーティーンをこなすのだろう。
あの審神者のいない本丸でもそうだった。できることをするしかできなかった。
あれがしたかった、あれが食べたかったなんて、何も思い浮かばなかった。今思えば、現実を上手く理解できていなかっただけという可能性もある。
けれど、これは本当に不思議な話だけれど。
世界なんて、ちっぽけなわたしにはどうにもできないざっくりと大きそうなものではなくて、もしもそれが、わたしの本丸だとしたら。
明日、本丸を閉めなければならないとしたら。
何も手につかないかもしれない。
泣くこともできず、酒を飲んで忘れることもできず、お別れパーティーで馬鹿騒ぎすることもできず。
静かに、1番景色が良い部屋で、男士たちの声を遠くに聞きながら、ぼんやりと庭を眺めることしかできなくなるような気がする。
だから、そんな最後を迎えるくらいならば、この本丸で時間遡行軍と相打ちになって華々しく散りたいと、そう思ってしまう。
けれどそれは口に出してはいけない願い。
一度言葉にしてこぼしてしまったならば、きっとまた閉じ込められてしまう。
この気持ちは、死ぬまで大切に大切にしまっておきます。
でも、貴方は勘づいてそう。
男士たちの闘う姿を見守るわたしを、たまにじっと見ていること。その顔が、真剣で、難しくて、美しくて、とても悲しいこと。本当は気づいてる。
一度だけ、視線に耐えられなくなって、なんて顔してるんですか、と尋ねたことがあった。
貴方の頬に当てたわたしの手を、貴方はその大きな手で包んで、一言、だめですよと。
普段弟達に言うように、厳しく、温かく。
わたしは笑うことしかできなかった。
頷くことはできないけれど、この本丸が長くあるために、できるだけ自分のことを大切にしていく。
いつか、わたしのセカイが終わる時まで。
5/6/2026, 11:06:28 AM