上手くいかなくたっていい
暑中、いかがお過ごしですか。
こちらもまだまだ暑い日が続いております。
体調を崩さないようご自愛下さい。
よし。こんなもんかな。
どう?これで。 彼がパソコンの下書きを見せてきた。
うん。いいんじゃない。
よし。ん、あれ?でもさ、もう立秋超えたから、暑中じゃなくて残暑のほうがいいよね。
さあ、そうなの?
そのはず。じゃあ、残暑、いかがお過ごしですか、っと。ん?いかがお過ごしですか、じゃなくて、残暑御見舞申し上げます、のほうがいいかな?
そんなの、どっちでもいいよ。
いやいや、こういうのはちゃんとしないと。となると、ご自愛下さい、よりも、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします、のほうがいいよね。
まってまって。堅い、堅苦し過ぎるよ。
いや、でもさ、僕はね、君の両親とも上手くやっていきたいと思ってるから。こういうのもちゃんとしないと。
気にし過ぎ。暑中見舞いか残暑見舞いか分かんないけど、そんなの上手くいかなくたってうちの親、全然気にしないから。
そう?
うん。
いや、でもなあ。 そう言って夫は再びスクリーンとにらめっこを始めた。
電話で、体調どうですか、ぐらいで十分なんだけど。
でもその心配りがとても嬉しい。
えぇっと、
残暑の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
例年になく暑い日々が続いておりますが、お父様、お母様におかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか。
秋が待ち遠しく感じる今日このごろ、またお会いできる日を心より楽しみにしております。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。
よし、どう?
まってまって、ホントにまって。こんな仰々しいの届いたらうちの親、びっくりしちゃうから。なにかあったのって、心配するから。逆に上手くいかなくなるから。ホントにやめてね。
そう?残暑見舞いって難しいなぁ。
8/10/2024, 4:21:38 AM