別れ際に、貴女は俺の頭をそっと撫でてくださいました。
五年経ったらまたおいでなさい、それまで待っていますからね、と笑って仰いました。俺は悲しくて悲しくて涙が止まりませんでしたが、それでも貴女に従って、貴女の庵を離れました。
貴女は結局、五年を待たずに病で亡くなってしまいましたね。
けれどどうか、そのことを気に病んだりはしないでください。
貴女は俺に、誰もくれなかった愛をくださったのです。貴女が生きていようといまいと、俺は貴女の愛を持って世界で生きるべきでした。そのことに気づけなかった俺が、愚かだっただけなのです。
9/28/2024, 1:23:39 PM