わをん

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『お祭り』

夜の広場に櫓が組まれ、吊り下がった提灯が盆踊りの輪を照らしている。太鼓と囃子は昔から変わらず、小さな頃に見様見真似で手足を動かしていたのが今では体に染み付いた踊りになっている。浴衣を纏った人の中には今はいない人たちもちらほらとおり、けれど皆気にせずにそれぞれの踊りを同じ調子で踊っている。
長い長いお囃子が終わりに近づく頃に最後まで踊っていたのは数えるほどにまばらな人数。祭りの終わりはいつも寂しい。とっぷりと暮れた夜の涼しさを感じながら次の夏に思いを馳せて帰り道を歩いていく。

7/29/2024, 12:11:53 AM