小さな手で拙いながらも1枚ずつ丁寧にめくればそこには沢山の世界が広がっていた。めくるたびに違う世界、違う色沢山のドキドキとワクワクが詰まっている。
幼い頃から絵本が好きだった。それは小学生になっても中学生になっても、人生24年目にになろうとしている今現在も変わることはなかった。
用紙にびっしり書かれている文字を見るよりも、びっしり敷き詰められた色彩を見るのがたまらなく好きで仕方なかった。
沢山の絵本を買った。幼い頃読んだ記憶のあるものから、今話題の芸能人が手がけたものまで。大人になって忘れてしまうものを取り戻すように、子供の頃に戻れることを願うように、1枚の絵を隅から隅まで見尽くした。
心が安らぐ感覚、目の疲れが取れる感覚、絵本を見るたび何故か心臓が少し締め付けられるような感覚が襲ってくる。
いつも、この世界に飛び込みたいと、いつかは絵本の中に入りたいと思いながら読み終える。
夜10時
仕事を終え帰宅した部屋の中には数十冊の絵本が散乱している。他者から見たら異常なのかもしれない。けれど一番これが落ち着くのだから、仕方ない。
その中で特にお気に入りの1冊を手に取り、表紙を開いた。
くまの親子の話。
母グマと散歩に出かけた子グマがはぐれてしまい、泣いているところを森の動物たちが通りかがり母グマのところへ送り届けてくれる。
お礼に母グマは沢山のごちそうを振る舞い、ハッピーエンド
読み終えたところで、最後の気力を振り絞ってコーヒーをいれる。それに牛乳を多く入れて、一気に飲み干した
そのまままた絵本を抱えて、お風呂に入っていないことも着替えていないことも、明日のことも考えずに目を瞑る。
次に目が覚めるときには絵本の中の世界であることを願って。
6/15/2024, 1:10:36 PM