むかあしむかし、ひとりぼっちの女の子がいました。
女の子は本がだいすきでした。いつもちいさなお部屋で、ちいさく背中を丸めながら、むちゅうになって本をよんでいました。ときには時間をわすれてしまって、お昼ごはんをたべられなかったときもあります。
女の子は、本の世界しか知りませんでした。だから、まわりのお友だちから、じぶんのことをひそひそ言われていても、気にしませんでした。というより、本が女の子のお友だちでした。
セツナイきもち、やさしいきもち、くるしいきもち。
女の子は、ほかのお友だちよりも早く、オトナがあじわうきもちを、本から教えてもらいました。
そうして女の子は大きくなっていき、言うのです。
「あの時、たくさん本を読んで良かった。私は独りぼっちで辛かったけど、決して不幸せじゃなかったわ。寧ろ、世界一幸せな女の子だって言えるくらいね」
6/15/2023, 1:39:31 PM