木蓮

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一番古い記憶は幼馴染家族と行った近所の小さなお祭り。3歳位だっただろうか。人混みで親とはぐれて泣きそうになりながら、2歳年上の彼と手を繋いで探し歩いた。

職場に母が倒れたと連絡が入り、同僚に謝り倒して病院に向かった。すでに手術を終えていた母はたくさんの管に繋がれたまま穏やかに寝息を立てていた。久々に見た母の顔はシワやシミが増え、痩けている。しばらく帰省していなかったことに気付いた。
「久しぶり」
ぼんやりと痩せ細った母の手を撫でていると、聞き慣れない声が聞こえた。小学生以来ろくに話もしていなかったはずなのに、顔を見ると何故か安心した。
「ありがとう」
無意識に目頭が熱くなる。静かに隣に座ると、するっと手を繋がれる。こんなゴツゴツした手は知らないはずなのに、懐かしい温かさに涙が溢れた。

12/9/2023, 1:32:04 PM