誰にも言えない秘密
秘密の匂いがするね?
穏やかな笑みを浮かべているがその瞳は暗くて深い黒。
何かをずっと探しているらしく、時々、そう言って顔を覗き込む。
見られた方はドギマギする。
それはそうだ。端正な顔立ち、つまり美形だ。大抵の男女はボゥっとしてしまう。老若男女問わず。
例外は生まれたばかりの赤子。当然だ。秘密を自覚して生まれるなど通常はない。
今日もその顔と表情筋を駆使して魅力的な振舞いをして人の抱える秘密を探している。
皆、抱えている秘密は言ってしまえば悩みの類いが多いらしく、いつもガックリして公園のベンチに座る。
何度も繰り返して行くうちに学習する。
息をするように隠し事をする者は秘密ではなく、日常なのだ。感情が揺れる事がない。匂いが違う。
だから、その感情の揺れから生じる波動が違う。
足りないのだ。
最近、そんな奴らが増えた。
あぁ、寄り添って間違いを気づかせればいいのか。
芽生えていく後ろめたさ、怯え、恐怖。
ゾクゾクすることに気づき、それにのめり込む。
中途半端にしてはいけないので徹底する。
味わい尽くす頃、対象者は真人間か壊れてるかどちらかだった。思うようにはいかないようだ。
こんな観察されているなんて知らないだろうな。
まぁ、誰にも言えない秘密だ。言う必要がないが。
更生プログラム、まだクリアできないな。
6/5/2024, 10:15:37 PM