題 快晴
「ねえ、快晴が良かった」
私は口を尖らせて彼氏の清彦を振り返る。
幼馴染でもあり、私の彼氏でもある清彦は、傘を片手に、なだめるような口調で私に答えた。
「仕方ないだろ。今週は天気予報ずっと雨だって話だったし」
「だってせっかくのデートなのに」
私は、自分の傘を持つ手に力を込めた。
毎日晴れますようにってお願いしたのに。
市内のテーマパークの予約チケットを買っていたから日付変更もできなかった。
「室内のアトラクションもあるらしいし、行けないわけじゃないんだから楽しもうぜ」
清彦は、もう近くに見えるテーマパークの入場口を指さして私に言う。
雨でも賑やかな音楽と沢山の人。みんな楽しそうだ。
そんな光景を見ていると、自然と私も笑みがこぼれてくる。
「そうだね!せっかく来たんだから楽しもうか!」
私達は荷物を預けてカッパを買うと、外のアトラクションも中のアトラクションも沢山乗って楽しんだ。
人は多かったけど、清彦と並んで待っている時間も楽しかった。
沢山いろんな話ができて、距離が近づいた気がして、嬉しかった。
気づくと、私達はテーマパークのほとんどの乗り物を制覇しようとしていた。
「あ・・・」
ふと気づくと雨は上がって、黒い雲の間から太陽の光が降り注いできている。
「晴れたな・・・」
隣で清彦がポツリと言う。
「な?快晴じゃなくても楽しかっただろ?」
清彦の言葉に、私は勢いよく頷く。
「うんっ!楽しかった!というか、今まで雨のことなんて忘れて楽しんでたよ」
「俺も。お前がいればどんな天気でも楽しめるって解ってたよ」
「え・・・あ・・・」
私が突然の清彦の言葉に赤面し、返す言葉を失っていると、
「行こう!あの観覧車に乗れば全制覇だ!」
清彦は、笑顔で私の手をとって引く。
「うん・・・!」
私は清彦の言葉に、笑顔を返し、握られた手に力を込めて、清彦の隣に並んで観覧車へと歩き出した。
4/13/2024, 12:46:24 PM