さゆ

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背中を軽く押されて、たたらを踏みながらそこに立つ。鏡の中の自分は予想以上に不安そうな顔をしていた。
「……似合ってるか?」
「似合ってる。てか、お前以上にその服が似合うヤツなんていないよ」
「よくそんなこと言えるな」
「だぁって、ホントのことだもん」
青い衣の裾を翻して彼へと向き直る。彼は自分がこの衣を着てから随分と機嫌がよさそうだった。

「鏡の中の自分」24.11.3

11/3/2024, 10:56:26 AM