自室に戻って、思いっきりベッドに身を投げ出した。ふわふわな布団は、私を優しく受け止めてくれる。
今日も、なんとなく上手くいかなかった日だった。
いつもは満点を取れていた数学の小テストも、半分しか取れなかったし、なんならイライラしてしまって友達に素っ気ない態度をとってしまった。
「もう、最悪」
そう言って、カーテンを少しだけ開ける。今日は新月か。いつも見える神秘的なお月様が見えない。
今日は、本当についていないかもしれない。
きっと、こんな事で悩んでいたら、友達になんでそんなことで悩むの?と言われるかもしれない。
友達は、家庭環境のことや人間関係についてずっと悩んでいた時期があったそう。だから、それに比べれば私の悩みなんて、全然大したことじゃないのだろう。
そんなことを考えていたら、少しずつやり場のないイライラが溜まってきた。
勝手に自分で妄想しといて、情けない。
「…はぁ」
スマホを開いて、明日の時間割を確認する。明日は、文化祭に向けて準備をする時間がある。その時に、確かクラスTシャツについて話す時間が取られるんだっけ。
正直、クラスTシャツなんていらないと思う。そんな物に2000円をかけた所で、たった一度の文化祭でしか着れないのに。なんでそんなものに、皆は時間をとるんだろう?
「明日なんて、来なければいいのに」
そうすれば、友達に顔を合わせなくて済むし、めんどくさい事に時間を取られることも無くなる。
いや、いっその事、ずっと夜なら、誰にもあわなくて済むのに。
私は、そんな思いを乗せて、まるで魔法少女が魔法を唱えるように、でも、どこかきだるそうにこう言った。
「時間よ止まれ」
9/19/2023, 10:59:51 AM