お題『命が燃え尽きるまで』
箒星を見て、あの人のようだと感じるようになったのはいつからだっただろう。
誰もが羨むような煌めく才能を持っていながら、いつだって誰かの為に忙しなく駆け回っているあの人は、心の底から人助けが大好きだった。
「ひとの笑顔を見ると嬉しくなるんだ」とは本人談。
出来るからという理由だけで他人を救ってしまうし、親切は自分のためだからと笑って、いとも容易く人の心を掴んでしまう。私もまた、そうして心の真ん中を攫われた人間の一人だ。
けれど時には傷だらけになって帰ってくることもあって、一度、どうしてそこまでするのかと尋ねてみたことがある。
そうすると返ってきたのは「好きで、やりたいことだからね」と屈託のない笑みで。
その時私はぼんやりと、この人が歩みを止めることはないのだろうな、ということを思ったのだった。どこか寂しいような、誇らしいような気持ちで。
例え誰が止めようとも、何が立ち塞がろうとも、それでも。
いつか彼方で、砕けて消える箒星。
きっと、命が燃え尽きるその時まで。
9/14/2024, 8:59:52 PM