喉から声が出なくなるまで叫べたのなら、私は今からでも大声で泣き叫びたかった。
けれどここは住宅街にあるアパートの一室。
空はすっかり暗くなっていて、とても一人で叫べるような時間帯ではない。
だから私は、叫びたい衝動を喉の奥に抑え込んで、ただ両目から涙をボロボロと溢すのみだった。
喉からまるで、裂けたかのような変な味がする。
だけど、叫べない。
叫んではいけないのだ。
人として生きているだけなのに、どうしてこうも、つらいのか。
人は、生きるだけで苦しみを味わう生き物なのか。
この世は地獄だ。
理不尽なことばかり起きる、地獄なんだ。
顔を上げ、壁掛けのカレンダーを見る。
明日は私の誕生日。
今日は、彼氏と別れた日。
声が枯れるまで
10/21/2023, 12:05:44 PM