少し前まではひまわりが一面を占めていた。それが今は季節は移り変わり、場所も変えて今度は色とりどりの秋桜が大地を飾る。
「きれいですねぇ……」
「そうだねぇ」
風に身体を委ねる秋桜たちは、その身を寄せあい揺れ動いた。それに合わせるように青年は恋人の手に触れ、自然の指を絡めあう。
優しい風が頬を撫でると、心地よい風にほんの少しだけ秋を感じた。
「秋も近づいているんですねぇ……」
「そうだねぇ」
少し前と同じトーンで返す青年に不満を持ったのか、彼女の頬は少し膨らんで見上げてくる。
「聞いてますか?」
「聞いてるよ。風も心地いいし、秋も感じてる。それに……」
「それに?」
きょとんと首を傾げる彼女。
「んー……なんでもない」
「なにそれー!!」
花畑の中にいる彼女が綺麗で見惚れていた。
そんな言葉を心にしまい、頬をふくらませたままの彼女に向けて微笑んだ。
「大好きってこと!」
おわり
一二四、花畑
9/17/2024, 11:50:42 AM