NoName

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それでもいいから、と縋った君も、
その手を振り解けなかった私も、弱くて。

どんな形でも繋ぎ止めておけるなら、とか、
隙間を埋めてくれて満たされる感覚だとか。
相手を思いやる事より自分の身勝手な感情で
先なんて考えないようにして曖昧さを選び続けていたけれど。

そうやって、与えるフリして、奪っていたの。
心をすり減らしていたのは、お互い様。

上澄みだけすくったような言葉のやりとりに
飽き飽きしてきた頃でしょう?
私はずるいから。知ってたよね、私を引き止めたあの時から。
だから私からは言わないよ。…言えないよ、

君から聞かせて。
そしたら私、ちゃんと頷いてみせるから。
この手、離すから。だから。ね?

7/15/2024, 8:38:18 PM