とある恋人たちの日常。

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 季節的に日差しが強くなって、カーテンを開けっ放しにしていると冷房の温度がなかなか下がらない。
 
「カーテン閉めるから電気つけるね」
「はーい」 
 
 俺は水色のカーテンを閉めてから、LED蛍光灯をリモコンて付けた。
 
 彼女が麦茶を出してくれて、ふたり揃ってソファに座る。昨日何があったとか、こういう話をしたとか、他愛のない話をしていると気温が下がっていく。
 彼女の肩がブルっと震えている姿を見てしまった。
 
「カーテン閉めたから寒くなったかな、温度上げるね」
 
 そう言いながらリモコンで温度を一度上げた。
 
「もう少し上げたほうが良かったら言ってね」
「はい」
 
 彼女はふわりと微笑んで、俺の腕に手を絡ませてから肩に寄りかかってくる。
 
「ありがとうございます。まずは、あなたからあっためてもらいます」
 
 ほんのりと頬を赤らめてから寄り添ってくれる。触れる彼女の体温が冷たくて本当に冷えていると理解したから、俺はその手を離して肩から抱き寄せた。
 
「じゃあ、まずはこうしようか」
 
 彼女は驚いたけれど、嬉しそうに俺の腰に両手を回してピッタリとくっつく。
 
 いや、本当に冷たいな。
 
 俺はリモコンでもう一度温度をあげてから彼女を抱きしめた。
 
 俺の体温を分け合えたらいいな。
 
 
 
おわり
 
 
 
四一〇、カーテン

6/30/2025, 2:03:50 PM