心の灯火
何日も真夏日が続いている。何もしなくても汗がダラダラと滴り落ちるのを感じる。
暑い。とにかく暑い。夏だから仕方がないが、それでも暑いのは暑い。
部活が終わり、帰路に着くために自転車を漕いで行くと始めのうちは風が心地良く快適だが、次第に暑さが増してくる。制服のスカートが足に絡みつき「死にそう」と思うことが何度もあった。
今日も暑いがテスト週間も終わり、明日からは夏休みのため心も体もウキウキしながらいつもとは違う道を走っていく。
「銀座のななかフルーツ寄って行こうよ」
後ろを自転車で走る友達の誘いを断る理由は全くない。私も同じ気持ちだ。
もちろん、銀座と言ってもあの銀座ではなく地元の商店街のことを田舎では銀座商店街などと言うことがある。
私たちの目的は、その銀座の路地にある小さなくだもの屋さんのフレッシュジュースだ。おばちゃんが店の中の小さなジューススタンドで作ってくれるジュースたが、くだもの屋のフルーツを使ったジュースはめちゃくちゃ美味しい。砕いた小さな氷がちよっと入っていて暑い夏にはピッタリだ。
自転車から降りて、今日は何を飲もうかとくだものが置かれたショーケースを覗き込む。
「夏休みだね。夏休みも部活あるのかい」
うんうん。と頷きながらジュースを一口。
美味しい。
イチゴとみかん、リンゴのミックスジュースを頼んだが、甘みと爽やかな酸っぱさが混じり暑さを忘れてしまう。。
ここでおばちゃんのジュースを飲みながら友達と他愛もない話しをしていると暑さが消え、心に灯火が灯るように心の中がホワッと温かくなるのを感じる。優しさが溢れてくるようだ。
ここは私たちの小さな拠り所。
これからもずっとこの銀座にあり続けて欲しと思う。いつも笑顔が溢れ、心温まる場所であり続けて欲しい。
9/2/2024, 1:01:42 PM