霧夜

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あいつが、亡くなった日。

その時は、驚く程何も感じなかった。

頭が真っ白になって、何も考えられなかった。


けれど、日が経つにつれて、あいつが居なくなったことへの自覚が

徐々に強まり始めた。


あいつの太陽のような笑顔も

いつも私を元気づけてくれる優しい声も

私の存在に気づくと、必ず振り返って声を掛けてくれるあいつの姿も

ふとした時に、無意識のうちに探してみても、結局は見つからなくて。

その度に、苦しくて辛くて、悲しい気持ちに襲われ続けた。

嗚呼、こんな気持ち。知りたくなんて無かった...。


#喪失感
54作目

9/10/2023, 12:51:26 PM