《物憂げな空》#14 2026/02/25
「どうした?ん?」
スマホを片手に持った華奈子が声をかけてくれた。私のラインを見て、急いで駆けつけてくれたんだ。寒いのに、汗だくで。ごめんね。
よれよれと歩みよって、汗だくの親友に私は抱きつき、胸の辺りに顔を埋めた。温かくて、泣ける。
「振られた…」
「佳幸に?うそ?」
私だって信じられないよ。3年付き合って、結婚するんだって思ってた。なのに…
「好きな人が…出来たって…」
ぐしゃぐしゃな顔で天を仰ぐ。どんよりとした曇り空。今の私にはお似合いだ。
「あんた…それで黙って別れてやったってわけ?」
ううん、と首を振った。
「腹パン入れてやった。全力で」
「腹パン…ぷっ、くふっ…ウケる…」
「だよね…あ、あはは…」
華奈子と二人、全開で笑った。だから、今、流してる涙が何の涙か分からなくてなった。
華奈子は、こいつは、こうやって辛いことを一緒に笑い飛ばしてくれる、唯一の友だ。
「ねえ、陽花里」
曇天から、チラチラと白いものが舞い始めていた。
「何?」
温めてやるとばかり、ぎゅっと抱きしめられた。
「私に乗り換える気、ない?」
小さな、優しい囁き。
あ、それ、悪くない…かも?
「女の子、好きになったこと、ないけど?」
「じゃあ、私が陽花里の初めての女ってことで」
自信と芝居っけたっぷりにそう断言されたら、これ、絶対間違いないやつだ。
「解った、じゃあ宜しく」
「ん」
手を繋いで歩き出す。雪が降る中。傘も差さずに。
男に振られて、薄暗い中、一人惨めに帰るはずだったのに、大逆転だ。
ざまあみろ。
2/25/2026, 12:37:24 PM