kiliu yoa

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『E』、私を仮にそう云おう。
 仮に、私と対になる者を『W』と呼ぼう。

  Wは、Eとは多くが異なる人だった。性別は勿論、価値観も異なる。Eとは異なり、Wは人を愛すことも愛されることも知っている人だった。

 EとWの決定的な違いは、仕事への考え方だった。

Eは、何よりも依頼主からの指示に従順で忠実だった。Wは、何よりも独善的で、依頼主からの指示を平然と無視した。

 Eは忠実さと従順さで、此の地位を掴んだ。しかし、Wは己の技力のみで、此の地位を掴んだ。

 其れが…其の紛れもない事実が…Eには、辛かった。なによりも、残酷で…不平等な現実だった。Eには、運命に抗い、戦う知恵も…考える事さえ、無かった。

 竹のように靭やかなで、蓮華のように泥の中でも咲く花のように生きる、W…貴方のように成りたかった。

『生き方は、人…其々、ふたつとして同じ人が居ないように、ふたつとして同じ生き方は存在しない。だから、己の生き方を恥じる事は無い。』

 此の言葉を貴方から聞いた時、私は膝から崩れた…視界がぼやけ、涙が溢れて、溢れて、止まらなかった。

 今迄、何度も…呪い続け、縛り続け、否定し続けた生き方が報われたように思えた。

7/13/2023, 2:44:04 PM