とある恋人たちの日常。

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 沢山人が集まっている。
 イベントでこの都市の住民が集まっていた。
 
 これだけ人数がいても、聞き取れてしまう声。
 
 集まった友人達と話していたけれど、視界を変えるたびに声の主を探してしまう。
 
 笑顔で対応しているし、話もちゃんと聞いている。それでも合間合間に彼女を探してしまった。
 
「もう、社長ー!!」
 
 楽しそうな笑い声が聞こえた。
 それだけで、どきりと胸が弾んだ。
 
 会話が一段落した時、視線を声の方に向けると結構離れた場所に女性たちが集まって談笑している。その中の一人に彼女がいた。
 
 言葉にならない気持ちが胸を締め付ける。
 
 なんでもない会話を続けながら、どうしても彼女を追いかけてしまう。
 
 一瞬、彼女と目が合った気がした。
 
 彼女を見ていたことを気が付かれたかな?
 そう思うと、彼女を視界に入れにくくなった。
 
 どうしよう、話したい。
 
 少し一人になりたい。
 そう思って、みんなの輪から離れると、やっぱり彼女を探す。
 
 話したい。
 声が聞きたい。
 
 ねえ、どこにいるの?
 
 どうしても。
 俺は彼女を探してしまうんだ。
 
 
 
おわり
 
 
 
三〇二、君を探して

3/14/2025, 12:16:30 PM