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 自分から背を向けた私に、そんなことを言う権利は無かった。叶うなら、一生顔を見たくもない人だっている。
 それでも私は、綺麗事を吐くのが好きだ。彼らの思い出の中の私が、儚く美しく映るように。

「また会いましょう」

 皮肉にも、彼らの旅路がきらめきに溢れるよう、私は心の底から祈っていた。

11/13/2024, 3:17:33 PM