私にとって月夜とは、今と昔を繋ぐ絶景だ。
千年前。この日本独自の文化が生まれた平安時代から、月に関する和歌が残っている。それを残した彼らは月を見て、己の恋心を詠んだのか、ただ美しいと思い詠んだのか。それはそれぞれで違い、とても素晴らしい。
しかし私たちは、月を見ても彼らのような感情はほぼ芽生えない。美しいと思いはするかもしれないが、その先を考えない。それでも私たちは、千年前から変わらぬ月夜を見ている。
私たちのご先祖様は、私たちと同じものを見ていた。
そして私たちは、ご先祖様と同じものを見ている。
千年の時を経てもなお、私たちは空に輝く月によって繋がっている。そうやって千年後、私たちと私たちの子孫が、繋がっていることを願う。
3/7/2023, 11:53:26 AM