SF
青空の下で
一般人枠の当選確率は一億分の一とも言われた。
それに奇跡的に当選しても、厳しい訓練の連続。生命の危険がある為、手加減は一切なく、また希望者はごまんといるので、脱落者は容赦なく落とされた。
そして……ようやく、前世紀の遺物と呼ばれる巨大なエレベーターに乗る。
身体に掛かる強烈なGのなか、籠は着実に上へと昇って行く。
やがて籠が止まる。無人探査機の調査データの結果、大気の成分は基準値に納まっているが、念の為、防護服を着込み、皆ぞろぞろと扉に向かう。
扉が開く。まず、目に映ったのは、どこまでも広がる青い空。
「……ここが地上……」
地下都市では絶対に見られない、遠くに霞む地平線。
私達は子供のように、焼けた土の上を駆け出した。
お題「子供のように」
10/13/2023, 11:32:38 AM