300字小説
自分からの叱責
「……やっちゃった……」
重い足取りでマンションのドアを開ける。パンプスを脱ぐと同時に溜息が転がり出た。
今日は金曜日。恋人と一緒に夕食を食べに行っていたのだが、喧嘩をしてしまったのだ。
理由は覚えてないくらい些細なこと。でも、自分の意地っ張りなところが出て、いつにない大喧嘩になってしまった。
「……明日のデートどうしよう……。えっ!?」
化粧を落としに向かった洗面所。その鏡の中の自分が私を睨んでる。
「私、今、こんな顔してる?」
驚く私を更に睨んでくる。
「……そう、そうよね……」
今日のは私が悪かった。スマホを出し、彼の番号をタップする。
『きちんと謝れば許して貰えるよ』
鏡の私の唇がそう動いて笑みを浮かべた。
お題「鏡の中の自分」
11/3/2023, 11:50:16 AM