雨音

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『さよならを言う前に』  No.122


「ううっ…」
目の前で彼女が、顔をぐしょぐしょにして泣く。
病室の機械の「ピッ、ピッ、」という電子音が響き、俺の命はあと少しであることが嫌でも心に染みた。

彼女は時期が悪く、他県へ行かなければならない。
だから、最後に会いに来たのだという。

彼女が口から何かを言いかける。
「さよ…」
それをさえぎるようにして、
「愛しているよ」とつげた。
さよなら、なんて言わせるものか

あぁ、もっと彼女といたかった……

8/21/2023, 1:25:17 AM