朝が来ると、夜はいなくなっていた。
それは、足音も立てずに去っていった。朝は、鳥の声に急かされてやってくるというのに。色素の薄い青の上に星は見えない。月はまだいるだろうか。窓を開けて、早朝の空を仰ぐ。哀を溶かした藍染の空は、澄んだ色に変わっていた。風に吹かれて届いた朝の匂いが鼻腔を擽る。自然と心は凪いでいた。昨日の僕が眠ってしまう前に、夜の下で感じたツンとした感覚は朝に掻き消されてしまった。夜におやすみを告げて、朝に挨拶をする。そして、今日の僕によろしく、と。
5/16/2023, 11:39:14 AM