駒月

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 幼馴染みにクリスマスディナーに誘われ、家に着いた。ちょうど残業をして彼女に嫌われたところだったから助かった。
 玄関に入ると幼馴染みの母に満面の笑みで出迎えられる。

「いらっしゃい、寒かったでしょう。こたつであたたまってね。ほら、あなたはコートかけてあげて」
「そんなん自分でやらせればいいじゃん」

 幼馴染みが俺に当たりが強いのは知っている。何せ元カノだからね。
 素早くコートをかけてこたつへ入る……あたたかく幸せがやってきた。外は雪が降りそうなくらい寒かったからここは天国だ。

「今日お父さん遅くなるって言ってたから、先に食べましょう?」

 ワイングラスにシャンパンが注がれた。フライドチキンやピザがズラリと並べられたテーブルを見て、わくわくしてしまう。



 ──料理を食べ終わる頃には、用意されていたお酒はすっかりなくなってしまっていた。楽しくて止まらなくなってしまったんだ……すると幼馴染みが睨みつけてくる。

「このザル野郎!全部飲み干すとか何考えてんの?遠慮とかないわけ?」
「ごめんごめん、ついうっかり」
「父さんのお酒なくなっちゃったし!」
「買いに行こうよ。君も結構酔っただろ?酔い覚ましにそこのコンビニまで」
「は?」

 不機嫌そうな声が上がったけど、幼馴染みの手を握ると急にうろたえ黙りこくった。こういうところは可愛らしい。

「ということで、ちょっとコンビニまで行ってきます」



 幼馴染みの母に声を掛けて、二人で外へ出た。
 はらはらと雪が降っている。

「あ、雪降ってるね。ホワイトクリスマスだ」
「アンタと二人の時に雪降られてもねぇ」
「不満かい?俺はロマンチックだと思ったけど。ほら、寒いから」

 強引に再び手を握る。寒いだけだから、と言って握り返してくる手は懐かしくてやっぱり可愛らしい。
 どうにかして付き合ってた頃に戻れないだろうか……考えたけど、コンビニに着くまでには思い浮かばず。

「また来年も仲良く過ごしたいね?」

 今はこの幼馴染み以上、恋人未満を楽しむことにするか──



【イブの夜】

12/24/2023, 2:50:04 PM