# 空白

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『過ぎ去った日々』(病気で亡くなる演出があります)

 私はもうあの夏の、友達と帰りながら「暑い、暑い」と言い帰る事も、冬の玄関を開けた時に息が白くて、ああ、嫌だなあ、寒いなあ、と思うことも出来ない。
 平日の朝、寝癖が酷く痛い思いをしながら櫛で滑らした黒い髪の毛も何も無くなってしまった。
 もうあの『過ぎ去った日々』を送ることは出来ないけど、私はまだ日々を過ぎることは出来る、はず。
 私はまだ負けていない。だからここに私の好きだった日々を懐かしむ手紙を書いている。 20××年 7月 18日

 
 今は亡き私の友人の手紙を読み終え、涙が頬を伝う。

 家族ぐるみで仲良くしてくれた友人のお母様に深くお辞儀をし、彼女のお墓の前に座る。
 「私が変わってあげたかった、ずっと大好きだよ」

3/9/2024, 10:15:48 AM