「今日はここまでです」
そんな言葉と共にウィルは本を閉じた。サルサはその言葉を聞いて息をついた。
「…………疲れた」
「昨日は休んでたんですから、別に大丈夫でしょう」
ウィルは微笑みながらそう言ったがサルサは首を振った。
そもそも昨日熟睡してたのはオフになったからとかそういう理由ではなく、単純に魔法の使いすぎであった。
「まぁ、使えるようになってはしゃぐ理由は分かりますけどね、貴方が使えるのは本当に初歩的なものを少しだけ、なんですよ? 力を増やす、ということにだって貴方の力は使うんですよ? 貴方自身の力を別の物体に変換させてるだけなんですから」
ウィルは若干咎めるように言った。
「……わ、分かってるんですけど…………」
サルサは俯きながらそう呟いた。
「勉強したくないんで…………」
「勉強しなきゃ、ここにはいられませんが」
「そうなんですけどね……」
サルサは困ったような顔で言う。
「……毎日勉強してるけど、意味あるのかなって。明日の為に努力してても、本当に報われてるのかなって思ってしまって……」
その言葉に少し驚いたような顔でウィルは言った。
「…………報われますよ。報われる為にやってるんですから」
「……そう、ですよね」
そう言ったサルサの顔は少し嬉しそうだった。
1/21/2025, 10:39:59 AM