そらいろ

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 祖母は、大人しそうな顔立ちとは相反して派手な色を好む人だった。

 黄緑の服と祖母が幼い私には不釣り合いに見えて、思わず聞いてしまったことがある。
「おばあちゃんは何で茶色とか白い服を着ないの?」
 祖母はいたずらっ子のように微笑んで、黄色のマグカップに入ったアッサムティーを口に含んで言った。

「好きな色と、似合う色は違うのよ。たくさん生きたご褒美に、私は好きな色に囲まれる生活を手に入れたの」

 小学生の私はその意味がわからなかったけれど、不敵に笑う祖母の顔と派手な色が初めて綺麗にはまったと思った。カチッと音がした。それは私にとっての魔法だった。

 孫にそんな話をしながら、私はビビットピンクのハンカチーフを取り出して孫の頬を拭くのだった。

/マグカップ

6/15/2025, 9:35:59 PM