みゆき

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桜散る

こんばんは。私は夢の世界で運命を売っている
未来屋の少女。みゆきと言います。細かい説明は他の作品にります。今日のお客様は……
桜井 春華様。

春華「はぁ…」
見るたびに消えてゆく春の欠片。暑く眩しい日々が顔をだす。そろそろ春の背中が見える頃だ。
春華 (消えないでよ。失くならないでよ。
君が消えたら私はもう。今の環境を
受け入れなければならない。願ってもいない
卒業式。築かず始まった入学式。少しでも長く
春が続いていれば…)

―午後10時―
春華 (夜桜もない、かぁ。夢の中なら
春があるかな)
夢までの道のりは長かった。春の寿命が
気になってしまうばかりだった。

―夢界―
ん?ここは、夢?
「こんばんは」
だ、だれ?
「私は運命を売っている未来屋の少女。
みゆきと申します。貴方はどんな運命が
欲しいですか?」
う、運命売り?
「もう少し春が続く運命が欲しいです」
あれ?なんで、言葉が。無意識に。
でも、間違ってないよな気がする。
「なるほど。新商品のあれならばお気に召す
かもしれませんね。はい。『四季続きの運命』
これは、あなたが春と望むなら永久に春が
続くのです。」
「………。すみません。他のはありますか?」
「なぜ、お気に召さなかったのでしょうか」
「ずっと続くときっと私は永久に幸せです。
でも、過去ばかりにすがって生きていきたく
ないんです。あと少しで受け入れられそうなん
です。だから少し。ほんの少しだけ」
「承知いたしました。では、この商品。
『幸の運命』幸せは永遠ではない。その事を
教えてくれる商品ですが。自ら幸せを見つけ
出すあなたには、いつかその運命が途絶える
この商品がぴったりですね」
「それください!何円ですか!?」
「お金はいりません。ここに来た記憶が
代償です。」
「差し上げます!運命をくれてありがとう!」

―朝―
ニュース「すぐ終るといわれていた春が
もうしばらく続きそうです…」
春華「……!やった!」


あとがき
なんでも叶う扉の前で自分で幸せを掴むと
言いきった彼女の声が私の頭から離れません。
お買い上げありがとうございました。
また次回お会いいたしましょう。

4/17/2024, 10:40:10 AM