作家志望の高校生

Open App

ある日の、学校からの帰り道。普段は通らない裏道を通ってみたら、クラスメイトの影を見つけた。
あまりクラスに馴染めていない、不良っぽい男の子。
その彼が、道端に座り込んで、何かごそごそと怪しげな動きをしていた。
もしかして、何か怪しいこと?それとも、体調が悪いとか?
色々な考えが頭を巡って、足音を忍ばせて近寄ってみた。
みぃ。
小さな、猫の鳴き声がした。
予想外の音に驚いて、枯れ葉をぐしゃりと踏み潰してしまう。
「……あ?」
彼が、振り向いてしまった。
ばちりと目が合って、逃げられそうにない。鋭い視線が僕を射抜いて、背筋を冷や汗が伝った。
「……お前、いつから見てた。」
冷たい声が飛んできて、僕の背は余計に跳ねて震えた。
「あ……え、えと……さ、さっき……」
喉が引きつるのを感じながら、詰まり吃りながらどうにか答える。言葉が不自然じゃなかったかで、頭がいっぱいだった。
「……そうかよ……」
予想外に柔らかな音が返ってきて、僕は拍子抜けする。
ぱっと顔を上げると、彼は少し耳を赤くして、そっぽを向いていた。
にゃあ。
また、子猫の声がした。彼の目がふっと緩んで、そのしゃがみ込んだ大柄な体躯から覗いた小さな毛玉に視線が落ちる。
「……あー……コイツ見てたんだ。……ちょっと前からここに居てな。親も居ねぇみたいだし、たまに見てんだよ。」
恥ずかしそうに言う彼は、噂に聞くような暴力的な力を持った不良なんかには見えなかった。
「……ねぇ。」
思わず、手が伸びた。一歩近寄って、彼の肩にそっと触れる。びく、と彼の肩が跳ねたのも、よく伝わってきた。
「……僕も、一緒に見てていい?」
精一杯の呟きは、果たして聞こえていたのだろうか。
分からないけれど、肩に置いた手は拒絶されていない。
僕は少しだけ、この不器用なクラスメイトのことが気になり始めていた。

テーマ:もっと知りたい

3/13/2026, 8:10:51 AM