大きなゴーレムを把握できなかった。
小さな衛兵の影を落とすのにいっぱいだったからだ。
風圧と共に巨大な手が伸びてくる。見た目通りに物理攻撃だ。
避けるのでは間に合わない。避けても周りの術師から集中攻撃を食らう。
「2人とも動くな!」
翼兵2人とも防衛本能よりも命令を優先し身体を硬直させた。
小さな2人の前に跳んで、いくつもの防御壁を作ってそのまま受け止める。
一瞬止められるような反動があったが、長くは持たない。ビシッっと嫌な音がする。
左舷を任せていた騎馬兵であるヨーテ、オーガ風の鎧兵ドリアンが割って入ってきたのを見て、防御壁を反射させて落ちた。2人を抱えて。
一瞬、記憶がとんでいたらしい。
「リーダー!リーダー!死んだら嫌だ!」
翼兵の一人が胸の上でおうおうと泣いていた。なんだか息苦しいと思ったらこれか…。
「僕たちは代わりが居ます、もうやめて」
お決まりのプログラムされたセリフが出てくる。
「いつもそういうね…」
動く方の手で、ボサボサの頭を撫でる。まだ小学2年とか、そんな小ささだ。
表情は悔しげで、大事にしていたものを壊された男の子なんだけどね。
女の子の方も無事だ。言葉はもともと喋れないが、瞳に悲しそうな光が浮かんでいる。
「お前も無事ね」
こくんと小さな顎が揺れた。
そして大泣きしている失敗作。感情を出して止まらない男の子のほうを抱きしめる。
「お前のかわりも居ないんだよ。もう製造も止まってるNo.9。お前以外は全部処分された」
「知ってる…」
「そうね」
何度も何度も聞かせた話だ。
お前たちが居なければどうやって立てっていうの。
「頭は動く」
首も異常なし。足首も大丈夫。
「行くよ」
掛け声で2人の目が戦闘体系に変わる。
掛け声をかけたら、2人は応戦している仲間めがけてすっ飛んでいった。
そして私も後ろから援護する。何年も変わらない、ずっとこれからも。失うわけには行かないからね。
「お前も代わりは効かないからね」
「存じております」
私を抱いて受け止めていた兵に言う。こちらの青年とも長い付き合いだ。
回復師呼びますか、と言われたけど断る。
「お前も居なきゃ私は生きていけないんだよ。肝に銘じときなよ」
「光栄です。僕も貴方がいなきゃ死にますよ」
最後の方は茶化して終わらせた。お互いよく性格を知ってるからね。
大切なもの
4/2/2026, 10:34:36 PM