ポツポツ、ポツポツポツポツ……。
小さく地面を叩く音が聞こえた。
彼女、傘持っていったかな。
俺は窓から灰色の空を見上げる。
少し前に恋人から帰宅の連絡を貰ったばかりだった。
俺はスマホを取り、彼女へ電話をかける。
少しの呼び出し音の後に元気な声が聞こえた。
『はい、どうしましたか?』
「うん。雨、降ってきていたでしょ。傘、ある?」
『あー……ないです』
「迎えに行くよ」
少し息を飲む声が聞こえた。
『ふふ。ありがとうございます。今……』
彼女が今いる場所を教えてもらい、俺は傘と車のキーを持って玄関を出る。
――
車で彼女の指定した場所に向かう。
雨足は強くなっていて、迎えに行くと伝えて良かった。傘が無い状態だったらびしょ濡れになっちゃうな。
彼女反対車線のお店の軒先に雨を避けて彼女は立っていたのを見かけて、迂回して向かい徐行して彼女に近づいた。
雨の中にいる彼女は、肌の白さがより際立って目を惹いた。
ああ、俺の恋人はきれいだな。
おわり
四七九、雨と君
9/7/2025, 2:00:49 PM