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「木枯らし」

一人の寂しい男がいた。男が一人で寂しいのは、男自身のせいであった。その男は、どうにも寒々しく、乾いた木枯らしのような男であったのだ。

情に薄く、何を言っても冷たく乾いた笑いを見せるだけ。ウェットなジョークをいうでもなく、冷笑してばかりの男は、当然人に好かれるはずもなく、上辺だけの付き合いのほかはもっぱら一人寂しく過ごすのみであった。

若い頃はそれでも良かった。斜に構えて、孤高の一匹狼でも気取っているフリをしていれば、多少なりとも興味を持って寄ってきてくれる物好きがいた。

それが今や、ろくに友人もいない、とっつきにくいだけの痛々しいおじさんだ。休日に遊ぶ相手もおらず、趣味といえば家で読書をするくらい。男の心は乾燥して冷え切った、木枯らしが吹いた後の冬の山のようだった。

1/17/2026, 1:11:41 PM