「いた」
大きな町の真ん中にあるのに、知ってる人はほぼ居ないこの公園に、貴方はただ1人、ベンチの上で蹲っていた。
私はゆっくり、貴方の横に座った。もう3月とはいえ、まだ肌寒くベンチはひんやりと冷たい。
「……ずっと探していたの?」
まだ目に涙を貯めている貴方は、掠れた声でそう言った。
「ううん、ここだって、すぐ分かった」
「嘘つき。めっちゃ息荒れてる」
不機嫌そうに貴方は言う。
「私、体力ないし」
「嘘つき。クラスの誰よりも体力ある癖に」
「貴方のことを考えたら、心配だった」
「……嘘つき」
少し、笑った。
これだけは、嘘じゃないことも、きっと貴方なら分かってくれている。
いつも隠してしまう、貴方の弱い所を、私は探し出してしまった。
でも、弱い貴方も、私には美しく見えた。
貴方を探して、良かった。
3/14/2025, 11:22:26 PM