「世界は本当に終わるんだな。」
「うん。終わる。」
「でも俺たちは生きてしまうのか。」
「うん。生きる。死ねない。」
馬鹿でかい隕石が落ちて宇宙人が侵略しに来た。
未知のウイルスが蔓延してエネルギーは底を尽きた。
…かどうかはわからない。でも世界は終わる。
そして始まる。
「他の人間、生き物はどうなるんだ。」
「生きる。わりと多く。」
「そりゃ良かった。」
良いのかな。まあ良いのか。さみしいし。
「やさしい。あなたはやさしいから好き。」
「そうか?そんなこと言われたのは初めてだ。」
冷たい世界が終わる。そしてあたたかな世界が始まる。
「今生きている人はやさしい人。冷たい人、怖い人、乱暴な人は死ぬよ。」
「つまり君もやさしい人だということか。」
「…え。…うん?… あ、そうなの…?」
「そういうことだろ。」
笑った。やさしい笑顔。これだ。
「やっぱりあなた。これからの世界に必要なのは。」
「随分と大ごとになってきたな。」
「神様になって。」
「すごいな。」
冷たい世界の終わりを
やさしい神様と共に見送る。
あたたかな世界の始まりを肌で感じる。
良かった。私の人生は無駄ではなかったんだ。
世界の終わりに君と
6/8/2024, 9:53:58 AM