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君の奏でる音楽


やっと見つけた。
そう言われて、は?、何言ってんだ?この不思議な感じの人物は、と、身構えてしまった。
男か女か、若いのか年寄りなのか。このクソ暑いのに全身マントをかぶっていて姿がわからない。
やっと見つけた。共に来い。

いやいや、子供だってついて行かないだろう?
少しずつ後退りしながら逃げ場を考える。
ジリジリと間を詰めてくる。周りはなぜか違う空間のようにこの危機的状況には無関係だ。いや、見えてない。

腕を掴まれた。
イヤだ!行きたくない!
なぜだ?なぜ、自分なんだ!

フードが外された。知っている。また会おうと言ってそれきりだった君。でも、君は何者?

早く歌うのよ!私の音で!
聞き慣れた君の音だ。歌えって、この状況で?

世界を救うのよ!私の音だけでは足りない。あなたの音がいる。早く、帷が降りる。

君の奏でる音楽に合わせて歌う時、世界が終わるって言ったじゃないか!救う?
暗くなってきた。歌わないからか?
終末の音を打ち消してもまだ先があるのに。
君の音に誰かが合わせて音が増えていく。
君の奏でる音楽は生きる喜び、生きる意味、共にいたいと差し出す手。掴むよ。共に生きよう。

8/13/2024, 5:02:45 AM