5年ぶりに帰郷した。
まずは両親と挨拶。
突然私が帰ってきたので驚いている様子だったが
笑って迎え入れてくれた。
久しぶりの両親の顔、声。
その温かみに思わずジンときてしまった。
次は友人の家。
私は脅かそうと思い、ピンポンダッシュの要領で
隠れた。それを何ともないように見つけられた。
悔しかったが、同時に嬉しかった。
あれからどうした。こんなことがあった。
あの子はこうなって、その子はこうなってる。
いろんな話をした。もっと話したかった。
それでも明日話せるからと言い聞かせ、
次へ向かった。
学校を過ぎ、コンビニを過ぎ、坂を下る。
どれもどれも、懐かしい。
大きな犬も、小さな花も、溝のアメンボも。
私はひとつひとつに挨拶をして行く。
土手を通り、田んぼの側へ。
すると、ついにその時が来た。
影が過ぎ、地面が光る。緑が喜ぶ。
上を見ると目が合った。
青い空に、輝く太陽。
私はそれに笑いかけ、言った。
「ただいま、夏。」
8/4/2025, 7:28:20 PM