しがみつく紫陽花

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【愛しいきみへ送る寝物語】

「もしもの話さ。君が、何かに絶望して、心底疲れきって、全てを終わらせてしまおうとしたらさ。
誰もいない森に行って、空をフォークとナイフで切り取って、星を取り除いて ふたりで一緒に食べようよ。」

「そうして過ごして、いつか森の上に青がなくなって真っ白になってしまったら、青を求めて海へ飛び込むんだ。」

「2人で抱き合って、青を喜んで泣いてさ。ロープで雲をひっぱってきて、海に浮かべて昼寝をしよう。」

「それで、気づいたら朝になっててさ。無人島についてるんだ。花がたくさん咲いてる、無人島。」

「また、青を食べて過ごしてさ。かわいい君に、
ときどき花束をプレゼントするんだ。
たくさんある花から、君に似合うきれいな花を見繕ってさ、大きな葉っぱに包んで、君に渡すのさ。」

「そうすると、君はとびっきり可愛く笑うから、僕を幸せな気持ちにさせる。
きっと、この世界に感謝をして、君の存在を尊ぶよ。」

「その日の夜は、今日みたいに2人で抱き合って、2人しかいないのにこしょこしょ話で今日1日の出来事を話し合おうよ。そうしたら、きっと僕はこの世界で一番幸せ者になるよ。」

「そうして、次の……寝たかい?…おやすみ、世界一愛しい君。」

寝息を立てて可愛い寝顔を晒す君に布団をかけ直してやり、ぎゅっと抱きしめて目をつむる。
きっと僕が世界で一番幸せ者だ。

2/9/2024, 1:42:43 PM