独り言を吐くどこかの誰か

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【愛情】※1個前のお題

みんなひとつずつ物を持っている
その人の象徴とするなにか。

例えば、鉛筆。
何かを書いて誰かに伝えたり答えたりする物
でも先が尖っていて使い方によっては人を傷つける

色々な使い方や用途がある。
それを世間では才能というらしい。

鉛筆を持っている人だとしたら
愛なんて簡単に伝えられる。

包丁を持っている人ならどうだろう。
人を傷つけてしまうだろうか
意外とそうでも無い

包丁で食材を切って料理をプレゼント
誰かの不要なものを切って助ける
使い方を工夫すればどうにでもなる。

僕が持っていたのは拳銃でした
モデルガンじゃない本物の銃だ

これだけはどうにかなるとは思えなかった。

工夫して使おうとしても傷つける以外何も無い
隣の芝が青く見えているだけだ思っていたけれど
そんなことは無かった

自分に向ければ自分が壊れる
かと言って人に向ければその分誰かが壊れる
おまけに僕は命中率が低いからよく被弾する
その被弾でどれだけ人を傷つけたか。

誰も拳銃を持った人間に近づいてこないだろう
大切な人達の血で僕の周りは満たされていった

そんな冷たい血の海の中 絶望していたら
僕の肩にブランケットがかかった

初めて温かいをもらった気がした
その優しい人は拳銃の命中率をあげるために
協力してくれた。

あんなに嬉しかったことは無いだろう

その温かいのおかげか命中率は上がっていった
でも被弾していないわけじゃなかった

その度に君は僕を暖かくしてくれた
君を傷つけてしまった冷たい罪悪感で
僕が風邪をひかないように 寂しくないように

命中率が八割を超える頃には
すっかり冷たい血の海を忘れていた。
僕からの愛がどれだけ痛いか忘れていた。

忘れた頃にやってくるのは冷たい海の記憶
怖い時に頼るのは暖かい君のブランケット

その暖かい温もりはいつの間にかいなくなっていた

やはり君も壊れてしまった
僕のせいだ。

壊してしまうことくらい知っていたのに
壊してしまったあとの冷たさを忘れたかったのに

ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい…
久しぶりの冷たい記憶は僕を絶望の底へ突き落とした

やはり僕は愛を伝えちゃいけないんだ
銃口は結んで撃てなくしないと…
冷たい血の海にまた慣れなければ
これ以上冷たくならないように銃弾は抜こう

暖かい記憶は銃で撃ち破る
これが異常だったんだ。





殺すぞと銃口を向ける
入っていない銃弾
誰も笑いやしない
おっかない冗談

そんな僕を認めてくれる人は
これから現れるだろうか
その愛に耐えられる人間は
殺しても死なないだろう

君の持っているものはなんだい?
色んな用途があるといいね。

11/29/2024, 4:36:40 PM