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そんなに柔らかく無邪気に笑っていたのはただ君だけ


あの頃の君の眼差しは何処に居たって

混雑した駅の雑踏の中で埋もれていても

変わり映えしない毎日に辟易しても探しながら前へ進んでいるなら


きっと見つけ出せる気がするの


もし君が目がしみて汗だくになりながら地道に足をつけて働いていても

そして私がふとした瞬間に俯いた顔をあげて周りの声が心に届いたときに


きっと見つけ出せる気がするの


たくさんの人の中から柔らかく笑えたのはただ君だけ



恥ずかしくて本当は目を合わせるのが苦手な私でも

人と視線を合わせる練習をしているなんてきっと君の周りにはいないような不思議な行動をしていても


ただ「笑わないで」と奥底から迫り上げてくる願いが口をついて出てきそうになった


その瞬間、君の屈託のない笑顔を見て

うつむきながらそっと私の頬は染まりました

5/12/2025, 10:25:15 PM