はた織

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「僕が「君」って呼ぶと、周りから恋とか愛とかBLとか言ってくるのは、何故なんだろうね」
「さあ? そういう人は、君っていう存在がいなくて愛に飢えているんじゃない。羨ましいとか妬ましいとか美しいとか思って、わたしたちに飢えた愛を押し付けているんだ」
「いっそのこと、自分自身を愛せば良いのに」
「それでも、自分を更に2人に分裂して、恋の妄想をする人はいるよ」
「そもそも、2人が並んでだけで、なんで恋が始まるのかな。別に、友人でも仲間でも家族でも良くない?」
「誰かと2人っきりになれる機会がないんだよ、恋しか見えていない人たちは」
「そういう人たちから性欲を取ったら、いったい何が残るだろうね」
「何も残らないよ。人肌が冷めていくだけ」
「わあ、悲しいなあ。人間は自然にだって恋できるのに、もったいない。人間は人間にしか、恋も愛もできないと思い込んでいる人って寂しいなあ」
「寂しくなった? それなら、わたしに自然に恋した人を教えてよ」
「もちろん! まどのともし火っていう詩歌だよ。一目みてはや恋しきは此世なるえにしのみにはあらじと思ふ」
「良いね。窓の光の奥に通ずる、前世の恋の道を見つけられたよ」
「君と僕もそんな関係だよね」
「聞かなくても分かるでしょ。もっとわたしのために自信を持って」
                  (250411 君と僕)

4/11/2025, 1:02:52 PM