相合傘
雨は降っていなかった。
ひとけのない静かな国は、たった数週間前に滅びていた。じろじろと太陽に監視されているこの国には、もう誰もいない。
たった今、八人の人影が国に入ってきた。
七人の青年と、一人の少女だ。
彼らは少しの間、ぞろぞろと国をみてまわった。
危険がない事が分かると、ばらばらになって観光を始める。
少女が大きな傘を開いて持ち上げる。かなり重たそうに見えるが、彼女は涼しい顔をして歩き出す。
と、そこに一人の青年が戻ってきて、彼女の傘を取り上げる。なにか二言三言喋ったあと、二人は並んで歩き出す。丸い影に守られる少女の、横に立つ青年の肩は、太陽に覗かれていた。
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あなたがいたから
いつか書く
6/20/2024, 10:37:28 AM