シン

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【忘れたくても忘れられない】
僕は昔から良く変なやつに好かれる
こいつもそうだ、祖父の家に来たばかりの頃
      突然僕の側に近寄って来たのがこいつだ

僕も子供だったから特に気にすることもなく、
                仲良く遊んでいた

今日もあいつと遊ぼうと山に向かった

山に着くとあいつが居た
「待ってたぜ、ほら、早く行こう」
『おう、今日は何しようか』
「なんでも良いぜ」
『じゃあ、この山を探検しよう』
「分かった、じゃあ、早く行こう」

沢山遊んだ、川に、秘密基地、草滑り
あいつと一緒だとなんでも楽しかった

夢中に遊んでいるうちに夕暮れになっていた
『あぁ、もう夕暮れか』
「ありがとうな、お前のお陰で俺も成仏出来そうだ」
『えっ…何言ってるんだよ』
「俺さ、この山で遭難して死んだんだ
 もっと色々やりたくて、それが未練になって
        どうしても成仏出来なかったんだ
 でも、お前のお陰で俺もようやく成仏出来そうだ」
『そうか…』
「泣くなよ、男だろ?」
『ばか、泣いてねぇよ…』
「そっか…
 どうしても辛かったら俺のこと忘れて幸せになれよ」
そういうあいつは気まずそうな悲しそうな顔をしていた

だから僕はあいつに言ってやった
『お前みたいな奴、忘れたくても忘れられねぇよ!』
そう言ったら、あいつはにっかり笑って消えていった

“今度は普通の友達として逢えたら良いな”
今ではそんな風に思う

10/17/2024, 10:59:38 AM